一杯のコーヒーが入るまで

episode2

地球の裏側で、虫に刺されず。

日本からの直行便はない。

乗り継ぎの末に降り立ったブラジル最大の都市・サンパウロから、さらに車で 3 時 間 強 。
カルモ・デ・ミナスはブラジルを代表するコーヒーの名産地。この地でコーヒー栽培を営むイルマスペレーラは、比較的最近びっくりドンキーが取引を始めた農場のひとつだ。

びっくりドンキーと産地の取引は、通常、必ず現地へ直接足を運んだ上で始まる。だが、イルマスペレーラとの取引は、コロナ禍において例外的に、そのプロセスを経ずに始まっていた。

自社焙煎工場の工場長・田中が現地を訪れたのは2023年7月。南半球は冬である。赤道からそう遠くないエリアとはいえ、昼間は暖かいが、朝晩は肌寒く霜が降りるほど冷え込む。
昼夜の寒暖差が大きいことはコーヒーにとって理想的な条件であるが、霜が生育にもたらす被害も無視できない。

ひとつ、田中が後になって気づいたことがある。コーヒー産地への出張の際によく使っている強めの虫除けを、今回は使わないままだったのだ。
それはつまり、コーヒーなどの農作物にとって害虫がつきにくい環境であることを意味していた。

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